(15).感染症アレルギー性落屑(らくせつ)性手足湿疹

 感冒(
ライノウイルスなど)などウイルス感染後、手指や足指先端に表皮角層がはがれるタイプの発疹がみられることがあります。
 左右対称にできます。

 だらだら風邪が続いている、
の多い幼児に多くみられます。

 かゆみがあることもありますが、全く症状がないことの方が多いようです。

 夏場に足指にできたときは、白癬(水虫)を心配して来院します。

 新型インフルエンザでも、同じタイプのものですが、比較的症状が強いものがみられました。

 ちなみに、伝染性軟属腫(水いぼ)の周囲にかゆみのある湿疹ができることがあります。
 水いぼのウイルスのアレルギー反応で、モルスクム反応と呼ばれています。

 ポリオなどのワクチン後でも、手足に同じような発疹ができることがあります。
 ワクチンの副作用の一つでもあります。


インフルエンザワクチン接種部位にできた湿疹です。
消毒液による接触皮膚炎の可能性もあります。


 近年は、夏場になると、手足口病(エンテロウイルス、コクサッキーウイルスが関与しています)のアレルギー反応として、しばしばみられます。

 ただし、感染症が体内に常在するものであるとき(たとえば、扁桃腺の溶連菌、腸管内の病原性大腸菌、ヘルペスウイルス科のウイルスなど)、慢性の治りにくい症状になります。
 そのときは、体内の感染症が原因となった(病巣感染)アトピー性皮膚炎ということになります。
 前章の掌蹠膿疱症と類似した病態ともいえます。

 風邪のあとにできる体幹のかさかさも同じタイプの発疹です。

 ちなみに川崎病(小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群 MCLS)にもこれと似た症状がみられます。
 急性期には手足の指がぱんぱんに赤く腫れ(硬性浮腫)、回復期には指先から膜様落屑がみられます。
 確かに、心動脈瘤などの合併症があるために川崎病との鑑別は必要かも知れません。

 治療は、主として保湿剤で経過をみて、かゆみがなければステロイド外用剤は処方していません。
 図のような炎症を伴っている発疹にはアズノール軟膏を、びらんのない落屑だけのものには10%尿素軟膏・クリーム(ウレパール、パスタロンソフト)などを処方しています。
 ワセリンやヒルドイドソフトを出すこともあります。




いずれも新型インフルエンザのあとにできた落屑性の湿疹。
足にも同じタイプの発疹があります。
検鏡で真菌は見つかりませんでした。
手には紅斑がみられますが、ふつうは皮がめくれるだけのことが多いようです。

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