アトピー性皮膚炎と「日光」

Q.
最近、日光に当たるとすぐに赤くなり、かゆみもあります。
以前からアトピー性皮膚炎があり、近くのお医者さんでのみ薬と塗り薬をもらっています。
(22歳女性)

A.
日光による影響は、主に紫外線(UV)によるものです。
波長の短いUVBは日焼けに関係し、波長の長いUVAはUVBより皮膚の深いところまで入り込み、しみをつくるとも言われています。

日光でできる発疹には、蕁麻疹タイプと湿疹タイプに分けられます。
日光蕁麻疹は、春先の急に日差しが強くなるころに多く、日光に少しずつ当たっているうちに蕁麻疹が出なくなることもあります。

単なる日焼けも多少とも炎症を伴っており、かゆみがあったり、あとでかさかさした肌にもなります。
日光は毎日浴びているときは、色は黒くなりますが、湿疹にはなりにくいものです。
子供時代を過ぎると、一日中室内で仕事しており、急に太陽の光を浴びるとひどい日焼けや色素沈着ができる場合があります。

一方、紫外線は免疫反応を抑える働きがあるとも言われ、アトピー性皮膚炎に対して、治療としてUVBやUVAの照射が行われています。夏季の海水浴がアトピーの湿疹に効果があるのは、海水で洗浄・消毒することに加えて、紫外線の効果も含んでいます。

そういうものの、紫外線は両刃の刃です。紫外線はビタミンDを活性化してカルシウムの吸収を促進しますが、DNAを損傷して皮膚癌の危険性もあります。

日光に当たると普通の人より赤くなったり、湿疹ができることを光線過敏症と言います。
前述しましたように、日陰生活をしている現代人は多かれ少なかれ、日光が合わない状態になっています。
日常紫外線遮光剤を含んだ化粧品を使っている女の人は光線過敏が多く、結局外出するときに化粧を手放せないようにもなっています。

光線過敏症は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)のような膠原病にも合併しますが、アトピー性皮膚炎患者でも時々見られます。痛み止めや抗菌剤などで見られるような光線過敏型の薬疹が、抗ヒスタミン剤や非ステロイド系外用剤でも起きることがあり、注意が必要です。

日光が原因となっているときの治療はといえば、結局のところそれを避ける以外にありません。
曇った日でも結構強いものです。化粧品については、来月説明します。


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