アトピー性皮膚炎と「水」

Q.
28歳の主婦です。
昨年長野から引っ越してきました。
最近お風呂に入った後で体がどうもかゆくなります。

A.
入浴後のかゆみはアトピー性皮膚炎では何とも避けられないところがある。
ただ、天然の温泉はかゆくないが自宅の風呂はかゆいと訴える患者がいる。
水道水の塩素が影響していることもあれば、微量に含まれる様々な金属などのアレルギーに
よることもある。

和歌山市に引っ越してきて、お風呂に入るとかゆいと訴える患者は少なくない。
取水している紀ノ川の水に問題があるといえばそのとおりだが、他ではすでに使用されていない鉛の水道管から鉛その他の重金属が溶け出すのを少しでも減らすために大量の消石灰が投入されていることにもよる。
消石灰のために和歌山の水道水のpH(水素イオン濃度)は7.72(平成14年10月11日和歌山市水道局水質試験室による当科の水道水の測定値)とかなりアルカリ側にあり、皮膚が乾燥する一因にもなっている。
また、カルシウムその他の陽イオンが多いために、カルキがたまりやすく、決しておいしい水とはいえない。

水道水の合わない患者については、浄水器がすすめられるが、注意しないと細菌が濾過器の中で繁殖するだけで、期待した効果が得られないこともある。

健常人の皮膚表面はpH5程度の酸性域にあり、弱酸性の水の方が皮膚に好ましいと言われ、最近は弱酸性の化粧水などが多く市販されている。びらんの多いところには、消毒効果をねらって、浄水器の酸性水を体の皮膚に使用するのもよい。ただpH4未満になると、皮膚刺激が強くなり、皮膚の乾燥がひどくなる可能性がある。

浄水器メーカーはアルカリイオン水を飲むようにと説明しているが、アトピー性皮膚炎に対する医学的な証明はなされていない。
また、金属イオンは活性炭のようなものでは十分に除くことはできない。

残留塩素の多い水は皮膚刺激が強く、それを減らすだけでも皮膚の乾燥は軽くなる。
シャワーの塩素だけなら、それ用のシャワーヘッドが各社から販売されている。
他に、ビタミンCや備長炭のようなものをお風呂に入れても塩素は少なくなる。

水は人の体を作るものとして重要であり、それだけにできる限り健康な水を市当局にお願いしたい。


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