内攻性湿疹

                  注:内攻性湿疹という病名はありません

Q.
昨年8月より、体の腹部、胸部、足の上部と軟らかい肉付きのある所に、突然内部からわき出てくるように痒みが起こり、がまんできずにかくと、赤くなぶつぶつが出ます。
炭水化物を控えて、入浴もタオルや石けんを使わないように言われました。内服薬が切れるとひどくなります。アレルギー体質でしょうか。動物は飼っていません。とにかく肌は弱いようです。早くかゆみから解放されたいです。
(76歳女性)

A.
まず症状が蕁麻疹なのか、湿疹なのか区別する必要があります。簡単に言えば、蕁麻疹は時間がたてば跡形もなく消えることが多く、湿疹はすぐには消えず長く残ります。
ただ蕁麻疹でも掻いていると炎症が加わって湿疹になったり、ひっかききずや化膿性の発疹ができる場合があります。

この患者さんの場合、8月から症状が出現し、ひっかくと発疹ができるということから慢性蕁麻疹と診断しましたが、その原因を考える必要があります。

蕁麻疹の最も多い原因はといえば細菌やウイルスのアレルギーです。高齢になり扁桃腺の溶連菌が蕁麻疹を起こしているとは考えにくく、胆嚢炎などの胆道系、憩室症や胃潰瘍などの消化器系、その他呼吸器系、婦人科系の炎症の有無を検討して下さい。
肝臓や腎臓の病気に関係してできる場合もあります。また、体内のできもの(腫瘍)についても異常がないか検討して下さい。

以上のことについて、近くの先生が「内攻性皮膚湿疹」と病名をつけられたのかもしれません。

他に多い原因として、内科などでもらっている薬剤の可能性があります。昔から同じ薬剤だから大丈夫とはいえませんし、中国製の後発品なら不純物の関与も考えられます。農薬や添加物、家の環境にある化学物質なども同じように原因になることがあります。

卵・牛乳などの食物、ダニ・カビ・ペットなど吸入抗原のアレルギーは、検査すると陽性かもしれませんが、この年齢になって初めて症状が現れることはまれです。
蕁麻疹の治療は抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服ですが、ステロイドの内服しか効果がないタイプもあります。原因がなくならなければ薬は効きにくいものですし、ずっと飲み続けることにもなります。

抗アレルギー剤を内服して症状が出なくなれば、少しずつ量や回数を減らしていくのがよいでしょう。


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