足の発疹

Q.
83歳の父の左足の小指と薬指の付け根がふやけたように白くなり、皮の下の部分がえぐれて穴があいています。
足を打った覚えもありません。
皮膚科で抗生剤とステロイドの混合軟膏を処方され塗布しています。
どういう病気なのでしょうか。
再発することはないのでしょうか。
(49歳長女)

A.
まず足の発疹は何かと考える必要があります。

たとえば、足底や足指の間にこの時期多いものとして足白癬(水虫)があります。
足白癬の原因は真菌(カビ)です。
パンやおもちにアオカビがよく生えますが、それと似たようなもので、もちろん他の人にもうつる感染症です。

患者さんの足に白癬菌がついているかどうかは、皮膚の皮を顕微鏡で見れば分かります。
ステロイド外用剤を水虫につけると、水虫による湿疹は一時的によくなりますが、白癬菌は増えます。
現在つけている外用剤がステロイドということは、足の発疹は水虫ではなく、湿疹ということになります。
もし湿疹ならば、なぜ足のその部分にできたのかということになります。
たとえば内科でもらっている薬剤が原因でこのタイプの湿疹ができるとは考えにくいでしょう。

内科の病気の中で糖尿病がおありでしたらそれが原因の可能性はあります。
糖尿病患者は感染症に弱く、しばしば足の潰瘍や、知覚神経の異常から触っても分からなくなることがあります。
ねたきりの患者にとこずれ(褥瘡)がよくできますが、糖尿病があれば寝ている間に足指が何かに圧迫されて血流が低下し、一種のとこずれに近いものができている可能性はないでしょうか。
特に、強い睡眠剤を内服していると、高齢者はそれが起こりやすいかもしれません。
ちなみに、糖尿病患者は足白癬が多く、足だけでなく全身のどこにも白癬菌が増殖します。

糖尿病は免疫が低下する代表的な病気ですが、他にもいろんなものがあります。
たとえば、悪性腫瘍や膠原病の患者、抗ガン剤やステロイドを内服している人などがそれに当たりますが、ちゃんと睡眠や食事をとっていない人、乳幼児や高齢者もまた免疫が低下した状態です。

皮膚はいわば体の中をのぞく窓のようなものです。
皮膚のできたものが、外からの原因のときは多くは一時的なもので、なおりやすいものです。
ただそんな外的な原因であっても、症状の経過はしばしばその人の全身状態に影響されます。
もちろんその人の全身状態が原因で皮膚症状ができていることもあります。


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