◆(1)保湿成分・基剤   


 ★はアレルギーを起こす可能性のあるものを示しています。
 しかし、すべての患者に起きるわけではありません。
 ★には、中毒・肝障害などの内科的危険性のあるものも含んでいます。
 ・ は、関連物質を示しています。
 アイウエオ順に並んでいますが、成分が似たものはそのルールに従っていません。

 保湿剤や外用剤基剤には実に多数のものがあります。

 たとえば、
▲炭化水素やアルコール、界面活性剤などの石油を原料にして精製したもの、
▲天然エキス・天然皮脂と称して、植物や動物脂質を抽出したもの
に分類されます。

 石油は危険と考えている患者さんもいますが、石油のもとは古生代の樹木が炭化したもので、古代の樹木のなれの果てです。
 一方、植物を原料にした天然の保湿成分は、しばしば植物にアレルギーがあると、接触皮膚炎・接触じんま疹を起こすことがあります。

 その意味で、天然のものは安全で、石油由来のものは危険とは言えません。

 もちろん、石油由来のものでしばしば接触皮膚炎を起こしやすいものもあります。
 実際、最もよく用いられるワセリンで接触皮膚炎を起こした患者もいます。
 同じワセリンでも、精製がいい加減なメーカーのワセリンだけが、接触皮膚炎を起こした例もありました。

 また、天然のものと称しながら、化学合成したものがたくさんあります。
 たとえば、尿素はヒトの体内で普通に作られ、尿から排泄されるものです。
 そんな尿素はヒトの尿から抽出されたものではなく、空気中の窒素などを用いた全くの合成品です。
 合成品だけに、メーカーによっては、不純物が多かったりします。
 昔のケラチナミン軟膏と比べて、今のケラチナミン軟膏はどこか変というのも、そんな印象から来ています。

 保湿剤は分子量が増えると融点が下がり、溶けにくく、硬くなります。

 ワセリンでも、二重結合を水素付加すると、軟らかくなります。
 二重結合が減ると、紫外線などで二重結合が切れて、フリーラジカルが生じ、活性酸素などの皮膚障害を生じる反応が減ります。
 そんなワセリンが、眼科用ワセリンとして用いられるプロペトです。
 プロペトは紫外線が当たる顔面に向いています。

 同じことは、天然皮脂にも当てはまります。
 不飽和結合が多い油脂成分は、顔面に向いていない可能性があります。
 ということは、食べると健康によいというDHAやEPAようなものは、少なくとも顔面の保湿には向いていないということです。

 天然皮脂やエキスの成分には、化学的に不安定で、しばしば簡単に酸化・変性されるものがあります。
 そんな皮脂は皮膚につけるととても危険です。

 単剤では安定でも、いろんな成分を混ぜ合わせると、変性しやすくなるものもあります。
 それだけに、多数の天然エキスを混ぜ合わせた化粧品はとても心配です。
 そんなメーカーは、たいてい、保存試験や安全性試験は検査を施行していません。

目次
@アルコール
A脂肪酸(飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸)
B脂肪酸エステル
C天然油脂・保湿剤
D高分子ポリマー
E天然高分子
F増粘ゲル化剤
Gロウ・ワックス


@アルコール:

 エタノール(ethyl alchohol)は、お酒(C2)を飲めない患者の皮膚につくと赤くなります。
 そんな患者さんは、他のアルコール成分も合わないことが多い。

 アルコール類は、エタノールと同様、消毒・抗菌作用のあるものが多いようです。

 また、ほとんどの炭化水素は接触皮膚炎は起きません。
 が、水酸基が付加されたアルコール類は低分子のものでも、接触皮膚炎を起こすことがあります。

アラキジルアルコールarachidyl alcohol(イコサノール、C20H41OH、融点64℃、パーム油などに含まれる白いろう状物質、粘性、乳化安定剤・増粘剤)

イソプロピルアルコール(イソプロパノール、2-propanol、芳香のある液体、エタノールより安価(酒税ない)・毒性・刺激性が強い、消毒)
イソベンチルジオール(保湿剤、溶剤、3-methyl-1,3-butanediol、防腐効果)、
1,2ヘキサンジオールhexanediol(保湿剤・抗菌剤)、

2-エチルヘキサノールethylhexanol★(C8、融点-76℃、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOP、可塑剤)の原料、皮膚軟化剤、吸入すると吐き気・頭痛・刺激性)
エトキシジグリコールethoxydiglycol(C6H13O2OH、香料・溶剤・減粘剤)

1.2オクタンジオールoctanediol(C8H18O2、保湿剤・抗菌剤)、
オクチルアルコールcapryl alcohol(C8H17OH、オクタノール・カプリルアルコール、融点-16℃、界面活性剤・リンス基剤・殺菌剤・基剤・粘性液体)、
・オクチルドデカノールoctyldodecanol(C20H41OH。融点-20℃以下。香料・乳化安定補助剤・品質改良剤・軟膏基剤。化粧品にはさらりとした感触)。

オレイルアルコールoleyl alcohol(C18H35OH、鯨油に多い。香料・油剤・乳化安定剤・溶剤・増粘剤)、
オレス-3,-5,-7,-10,-20(マッコウ鯨油をケン化、還元したオレイルアルコールから、白色・微黄色の液状物質、香料・乳化剤・可溶化剤・洗浄剤)

キシリトールxylitol(C5H7(OH)5、キシロースから、甘味料・冷涼感・う歯骨粗鬆症中耳炎予防・保湿)

グリセリンglycerin(3価アルコールC3H6(OH)3、融点17.8℃、グリセロール、アセトン・エーテルには溶けない、生体内にある、大豆油・獣脂の加水分解で生産、保湿・増粘安定剤・甘味料、吸湿性・軽い刺激性)、
・ジグリセリン(2個グリセリンがエーテル結合、保湿・しっとり)、
・ポリグリセリン(保湿・増粘安定剤・可塑剤)、

ステアリルアルコールstearyl alchohol(C18H37OH。オクタデシルアルコール、融点60℃。乳化安定補助剤・品質改良剤・軟膏基剤。化粧品にはさらりとした感触。粉体塗料用レベリング剤、耐候性・耐水性あり、ブロッキング防止効果がある、パーム・ヤシ由来)、

セタノールcetanol★(C16H33OH。1-ヘキサデカノール・パルミチルアルコール、融点49℃。保湿剤・乳化安定補助剤・品質改良剤・軟膏基剤・増粘剤・潤滑剤。化粧品にはさらりとした感触、パーム・ヤシ由来、接触皮膚炎)、
・ヘキシルデカノールhexyldecanol(C16H33OH、保湿剤、さっぱりした使用感・加熱安定性)
・セトステアリルアルコール(C16,C18、融点52℃、セチアリルアルコール、界面活性剤・リンス基剤・殺菌剤・可塑剤、軟膏基剤)、
・イソステアリルアルコール(C16分岐鎖)

ソルビトールsorbitol★((CH2OH)6、融点95℃、バラ科ナナカマド属(Sorbus)からの糖アルコール、天然にも含有(紅藻類13%、果実に1-10%)、保湿増粘・水分調整剤・湿潤剤・甘味料・下剤、イタリアで死亡事故、脱水反応でできたものがソルビタン)

デシルアルコールdecyl alcohol(C10H21OH、融点7℃粘性液体、弱い特異臭甘い芳香、精油中にもある、外用剤基剤・保湿剤・乳化剤)
・デシルテトラデカノール(加熱安定性にすぐれたリッチな分岐鎖アルコール)。

1,3-ブチレングリコール★(BG C4H8(OH)2、ブタンジオールbutanediol、非常によく用いられている、インキ・化粧品・医薬・農薬・洗浄剤・抗菌、べたつき・刺激少ない、接触皮膚炎なければそのまま用いた方がよい)、

プロピレングリコールpropylene glycol★(PG、C3H6(OH)2、1,2-propanediol、融点-59℃、保湿・乳化・溶媒・防カビ・溶解補助剤、化粧品・おにぎり・麺、軽度刺激性・接触皮膚炎)、
・ヘキシレングリコールhexylene glycol(C6H12(OH)2、香料・溶剤・減粘剤・殺菌剤・防腐剤・浸透剤・軟化剤・化粧品)、
ベンチレングリコールpentylene glycol(C5H10(OH)2、抗菌性のある保湿剤、保湿・溶剤)、

ベヘニルアルコールbehenyl alcohol(C22。融点70℃。C18混合して使用、ナタネ油由来、結合剤・乳化安定剤・増粘剤)。
ミリスチルアルコールmyristyl alcohol(C14H29OH。1-テトラデカノール、融点38℃。乳化安定補助剤・品質改良剤・軟膏基剤・保水性。化粧品(コールドクリームなど)にはさらりとした感触、ヤシ油)

ラウリルアルコールllauryl alcohol★(C12H25OH。1-ドデカノール、融点24℃。乳化安定補助剤・品質改良剤・軟膏基剤・界面活性剤原料・香料・起泡剤・増粘剤。化粧品にはさらりとした感触、海洋生物には有毒)、


A脂肪酸

 不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸より融点が低く、酸化されやすい。

 生体物質として有用であるものが多いようです。
 二重結合が酸化されて切れるとフリーラジカルが生じ、活性酸素ができます。

(1)飽和脂肪酸

二重結合・三重結合のない脂肪酸、不飽和脂肪酸より融点高い。
異性体がない。

アジピン酸adipic acid(ヘキサン二酸、C4H8(COOH)2、融点152℃固体)

カプリル酸caprylic acid(C7H15COOH、融点16.7℃液体、エステル、アミン、石けんなどの原料。合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分、抗真菌剤・抗菌剤)
・カプリン酸capric acid(デカン酸、C9H19COOH。常温個体。エステル、アミン、石けんなどの原料。合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分)
・カプロン酸caproic acid(C5H11COOH、ヘキサン酸、融点-3℃、不快臭、ヤギ油から、バターに)

ステアリン酸stearic acid(オクタデカン酸、C17H35COOH、融点70℃固体、エステル、アミン、石けんなどの原料、合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分、軟膏・口紅・石けん基剤)、
・イソステアリン酸isostearate acid★(C17H35COOH、乳化安定剤・感触改良・エモリエント剤・界面活性剤、接触皮膚炎)、

パルミチン酸palmitic acid(C15H31COOH、融点63℃常温個体。エステル、アミン、石けんなどの原料、合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分、軟膏・口紅・石けん基剤)、
・イソヘキサデカン(C16分岐鎖、エモリエント性に優れる)

ベヘニン酸・ベヘン酸behenic acid★(ドコサン酸、C21H43COOH、ナタネ油・ピーナツ油成分、ショートニング・整髪料、エステル、アミン、石けんなどの原料。合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分、軟膏・口紅・石けん基剤、コレステロール上昇)、
・トリベヘニンtribehenin(ナタネ油由来C69H134O6、耐熱性向上・コンディショニング剤、口紅に)、

ミリスチン酸myristic acid(C13H27COOH、融点54℃常温個体。エステル、アミン、石けんなどの原料(起泡性がよい)。合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分。軟膏・口紅・石けん基剤)
ラウリン酸lauric acid(ドデカン酸C11H23COOH、融点45℃常温個体。エステル、アミン、石けんなどの原料。合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分。軟膏・口紅・石けん基剤)、

パーム核脂肪酸(アブラヤシの果実の核を圧搾、主成分ラウリン酸)、
・パーム脂肪酸

酪酸butyric acid★(ブタン酸C3H7COOH、融点-7.9℃、特有の不快臭・つくととれにくい、ギンナン・足の悪臭、バター・チーズ・皮脂にある、皮膚・粘膜には腐食性・水生生物に有害)
L-リンゴ酸malic acid(COOH-Ch(OH)CH2COOH、融点130℃、酸味料・pH調整剤・乳化剤・キレート剤)

(2)不飽和脂肪酸

アクリル酸★acrylic acid(CH2=CHCOOH、融点12℃液体、高分子材料、劇物)

アラキドン酸arachidonic acid(C19H31COOH、20:4,n-6、融点-49℃、細胞膜のリン脂質として、脳に多い、必須脂肪酸)
エイコサペンタエン酸eicosapentaenoic acid(EPA)(C19H29COOH、20:5,n-3、融点-54℃、免疫抑制・血小板凝集抑制・抗炎症・コレステロール減、青魚油に、血液脳関門通過できない)
エイコセン酸(モノ不飽和脂肪酸C19H37COOH)、多くの植物に含有、保湿)

オレイン酸oleic acid(n-6系C17H33COOH、融点16℃液体、1価不飽和脂肪酸、エステル、アミン、石けんなどの原料。合成樹脂滑剤・安定剤、化粧品・医薬品油性成分。軟膏・口紅・石けん基剤)
オレフィンオリゴマー(さっぱりした感触)
セバシン酸sebacic acid(HOOC(CH2)2COOH、ひまし油から抽出、可塑剤・ナイロン原料・潤滑剤・化粧品・芳香剤・防腐剤)

ドコサヘキサエン酸docosahexaenoic acid(DHA)(C21H31COOH、22:6,n-3、融点-44℃、魚油に、必須脂肪酸、脳神経系健常化・中性脂肪減)

リシノール酸ricinoleic acid(C17H33COOH、トウゴマ・ヒマシ油に、緩下・鎮痛・抗炎症)
リノール酸★linoleic acid(C17H31COOH、融点-5℃、2価不飽和必須脂肪酸、紅花油・コーン油など植物油に多い、コレステロール・中性脂肪低下、過剰摂取でアレルギー・循環系悪化)
α-リノレン酸linolenic acid(C17H29COOH、α-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸、融点-11℃、3価ω3必須不飽和脂肪酸、エゴマ・アブラナ・大豆油などに含有、乾性油)


B脂肪酸エステル:

 脂肪酸をエステル化すると油溶性が増し、刺激性が減ります。
 接触皮膚炎などの問題点についてははっきりしません。

アジピン酸イソブチルisobutyl adipate(C10H18O4、融点-17℃、低粘性油剤、紫外線吸収剤の可溶化剤にも)
アジピン酸ジイソブチルdiisobutyl adipate(C12H22O4、保湿剤・香料・可塑剤)

イソノナン酸エチルヘキシルethylhexyl isononanoate(低粘性油剤、加熱安定性):
・イソノニル、
・イソデシル、
・イソトリデシル(低粘性)。

ヘキサイソノナン酸ジペンタエリスリチルdipentaerythrityl hexaisononanoate(相溶性、口紅のなめらかな使用感・中粘性油剤・乳化安定剤)。
ジノナン酸ポリエチレングリコール(O/Wエアゾール向き)

エチルヘキサン酸セチルcetyl ethylhexanate(軽くさっぱりした低粘性油剤・エモリエント剤、顔料分散性に優れる):
・ヘキシルデシル。
・エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸グリセリル(ペースト状、高極性・アルコール可溶)、
・トリエチルヘキサン酸グリセリルtriethylhexanon(さっぱり、クリーム・乳液・口紅・染毛剤・はみがき・育毛剤などの油性基剤)、飽和脂肪酸グリセリル

オクタン酸セチルcetyl caprylate(C24H48O2、エチルヘキサン酸とセタノールのエステル、さっぱり、低粘性油剤・エモリエント剤、低刺激)、
・テトラオクタン酸ペンタエリスリチルpentaerythrityl tetraerythylhexanonate(結合剤・閉塞剤・増粘剤、口紅・保湿剤に)

オレイン酸ジヒドロコレステリルdihydrocholesteryl oleate(エモリエント剤))、
オレイン酸フィトステリルphytosteryl oleate(ペースト状、酸化安定性、植物由来コレステロール、ヘア皮膚コンデイショニング・エモリエント剤)、

コハク酸ジエチルヘキシルdiethylhexyl suucinate(可塑剤・低粘性油剤・エモリエント剤・紫外線吸収剤の可溶化剤)、
コハク酸ビスエトキシジグリコール(低粘性油剤、水にも油にも溶ける、毛髪への浸透性がよい)
・ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(酸化安定性、分散剤)、
・ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(スキンコンディショニング剤)、
・ジグリセリンイソパルミチン酸エステルセバチン縮合物isopalmityl diglyceryl sebacate(淡黄色透明液体、保湿剤・乳化剤・エモリエント剤、接触皮膚炎の報告)

ステアリン酸イソセチルisocetyl stearate(低粘性油剤・エモリエント剤):
・グリセリルglyceryl stearate(C20H40O3、香料・エモリエント剤・乳化剤・非イオン系界面活性剤→)、
・ステアリル、
・ブチルbutyl stearate(C22H44O2、融点23℃、香料・エモリエント剤・化粧品原料)。
・ステアリン酸2-エチルヘキシルetylhexyl stearate(高極性、エモリエント剤)、
・イソステアリン酸エチルethyl isostearate(C20H40O2、低粘性油剤・エモリエント剤):
・イソプロピルisopropyl stearate、
・ヘキシルデシルisocetyl stearate(C34H68O2、エモリエント剤)、
・イソステアリル、
・トレハロースエステルズ、
・トリイソステアリン。
・トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(リッチな使用感)、
・テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(酸化安定性)、
・リンゴ酸イソステアリル(さっぱり、酸化安定性)、
・トリエチルヘキノイン、
・トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(耐水被膜)、
・ジステアリン酸グリコール(パール光沢)、
・ジステアリン酸スクロース(刺激少ない保湿剤)、
・ジステアリン酸プロパンジオール、

セバシン酸ジエチルdiethyl sebacate(C14H26O4、基剤・界面活性剤・乳化剤、接触皮膚炎の報告)

テトラヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸ジペンタエリスリチル(ろう状、抱水性)、
ヒドロキシステアリン酸コレステリルcholesteryl hydroxystearate(C45H80O3、ペースト状、皮膚コンディショニング剤・増粘剤・エモリエント剤)、
・ヒドロキシステアリン酸フィトステリルpthytosteryl hydroxystearate(エモリエント剤)、
・ペンタイソステアリン酸エチルヘキシル、
・ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(パーム油と糖アルコールのエステル、光沢・密着性)、
・ヘキサヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸ジペンタエリスリチル(ろう状、抱水性・光沢性)、

トリカプリリンtricaprylin(trioctanoin、C27H50O6、グリセリンと植物脂肪酸のエステル、香料・閉塞剤)、
・トリカプリル酸グリセリル(油性基剤)、
・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルcaprylic/capric triglyceride(香料・閉塞剤・エモリエント剤、低粘性・なめらか)、
・トリカプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸グリセリル(ワセリン様)、

ヘキサベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸ジペンタエリスリチル(光沢性)、
乳酸オクチルドデシル(高極性、誘電率4.24、軽い感触、油溶性)、

パルミチン酸イソプロピル(融点12℃、低粘性油剤):
・エチルヘキシルetylhexyl palmitate(C24H48O2、香料・エモリエント剤)、
・セチルcetyl palmitate(C32H64O2、基剤・香料・閉塞剤)、
・デキストリンdextrin palmitate(エモリエント剤・抗ケーキング剤・乳化剤・増粘剤)。

パルミチン酸オリゴペプチドpalmitoyl oligopeptide(保湿、皮膚コンディショニング剤)
ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル(リノール酸由来、密着性伸びがよい)、
ヒドロキシ酪酸ジヒドロコレステリル、
ヘキサン酸デキストリン(ゲル化)。
ヘキシルデカン酸/セパシン酸ジグリセリルオリゴエステル(脂肪酸・グリセリン・オリゴ糖のエステル)

PET(ポリエチレンテレフタレートpolyethylene terephthalate、テトロン、熱可塑性樹脂(ペットボトル)・フイルム・繊維、光沢付加)、
・(PET/ポリメタクリル酸メチル)ラミネート、
・(PET/Al)ラミネート(光沢感)、
・(PET/Al/エポキシ樹脂)ラミネート(光沢感)
マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル、
・マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル

ミリスチン酸イソプロピルisopropyl myristate(C17H37O2、融点-5 ℃、皮膚になじみやすい、低粘性油性基剤、クリーム・乳液・シャンプーに・可塑剤・光沢化剤・乳化剤)、
・ミリスチン酸イソセチルisocetyl myristate(C30H60O2、低粘性油性基剤・可塑剤・光沢化剤・乳化剤・さっぱり)、
・ミリスチン酸ミリスチル(合成ワックスなど)、
・ミリスチン酸オクチルドデシルoctyldodecyl myristate(C34H68O2、低粘性油性基剤・皮膚になじみやすいマイルドな基剤・油剤エマルジョン用の無臭液体・柔軟効果、ニキビ少ない)、
・ミリスチン酸デキストリンdextrin myristate(ゲル化剤・抗ケーキング剤・増粘剤)

ラウロイルリシンlauroyl lysine(C18H36N2O3、ラウリン酸+リジン、粉末、乳化安定・撥水性・感触改善・ヘアコンディショニング剤)
酪酸コレステリルcholesteryl butyrate(C32H52O2、コンディショニング剤)、
ラノリン脂肪酸コレステリル★cholesteryl lanorate(コンディショニング剤、基剤・エモリエント剤)
リンゴ酸ジイソステアリル★diisostearyl malate(C40H78O2、高極性の中粘性油剤・エモリエント剤、顔料分散性・酸化安定性に優れる・べとつき少ない、接触皮膚炎の報告)。


C天然油脂・保湿剤:

 天然油脂・保湿剤は動物性、植物性、一部鉱物性に分けられます。

一般に、動物性は融点が低く、酸化変性されやすい傾向があります。
しかし、動物性の油脂は、生体成分を構成しているものもあり、塗り心地はとてもよいようです。
 一方、動物性油脂は、接触皮膚炎などを起こしやすいこともあります。

 植物性油脂は実にいろんなものがあります。
 動物性のものと共通した成分を含んでいることもあります。

 植物性油脂は、種子などから油をとる場合、有機溶媒で抽出するより、冷却して圧搾抽出(コールドプレス)の方がよい。
 が、嘘が多いので要注意。
 添加物にも要注意です。

 油脂は酸化されにくいもの、変質しにくいもの、べつきが少なくて保湿効果が高いもの、アレルギーを起こしにくいものが理想。
 植物や動物アレルギーのあるときは、植物由来動物由来の油脂は使わない方がよいかもしれない。
 いずれにせよ接触皮膚炎には要注意です。

(1). 動物性油脂

ラノリン★(羊の毛の皮脂、アズノール軟膏に用いられる)、
・液状ラノリン、
・還元ラノリン、
・硬質ラノリン、
・酢酸ラノリン、
・酢酸ラノリンアルコール、
・ラノリン脂肪酸イソプロピル、
・ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、
・水添ラノリン(保湿・乳化剤)

NアセチルグルコサミンN-acetylglucosamine:Na(カニ殻などのキチンから得られるヒアルロン酸前駆体、キチンキトサンの構成成分、角質水分保持効果、内服効果は不明)
キチンキトサン(カニ・エビの殻のN-アセチルグルコサミンをアルカリ処理(脱アセチル化)、N-AceGluが残る、多糖類、保護膜・創傷保護・増粘・抗菌)
・ヒドロキシプロピルキトサン(カニ甲羅由来のキトサンを溶解しやすく、被膜効果)
ヒアルロン酸hyaluronic acid Na(hyaluronic acidムコ多糖、N−アセチルグルコサミンとグルクロン酸が連結した高分子、関節・脳・皮膚の真皮にある細胞外マトリックスに、保湿大)
・オリゴヒアルロン酸(ヒアルロン酸より保湿効果大)

アセチルヒドロキシプロリンacetyl hydroxyproline(アミノ酸の一種、保湿効果・ヘアコンディショニング剤・保水剤、コラーゲン産生・抗老化、ヒドロキシプロリンはコラーゲンの主要成分)
・グリシンglycine(アミノ酸CH2(NH2)COOH、保湿、神経伝達物質・葉酸代謝・コラーゲン原料、高グリシン血症で神経障害)
アミノカプロン酸★(C5H10COOH(NO2)アミノ酸の一種、融点205℃固体、保湿効果・止血剤(プラスミノーゲンに結合阻害)、血栓)
・シトルリン(角質中にもあるアミノ酸、保湿・抗酸化)

シロキクラゲ多糖体(乳化安定剤)

スクワラン(サメなどの肝油成分、生体内にもあるセラミドの一種、スクアレンに水素添加精製)、
・植物性スクワラン(オリーブなどの植物からのスクアレンに水素添加精製)
・セラミド(ヒトの皮膚にある細胞間脂質の一つ、花王から合成セラミドがある)
・トリオクタノイン(ヒトの皮脂に含まれる、酸化安定性)
・トリエチルヘキサノイン(ヒトの皮脂に含まれる、酸化安定性)
・バチルアルコール(エーテル脂質(alkyl glycerol)、サメなどの肝油成分、骨髄再生・抗腫瘍)
・コンドロイチン硫酸Na(魚類の軟骨から精製、ムコ多糖類)
・水溶性コラーゲン液(魚皮のコラーゲン、保護膜)
・ビタミンA油(タラ・マグロなどの肝油、ザーネ軟膏)

プラセンタエキス★(ヒト胎盤エキス、ウマ胎盤などヒト以外のものもある・危険、胎盤には本来抗原性がなく、拒絶反応やアレルギーは起こらない、不純物・感染症は問題、食べるのはよいが、注射や外用は危険)

卵黄油★(外用すると卵アレルギーを誘発する可能性がある、食べるのは問題なし)

尿素(CO(NH2)2、角層水分保持)
・ケラチナミンクリーム(20%尿素ワセリン、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60、ステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)
・パスタロンソフト軟膏(10%,20%尿素)(ステアリン酸Al, Mg、サラシミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、グリコール脂肪酸エステル、グリシン、ブチルパラベン、メチルパラベン、BHT、エデト酸Na)
・ウレパールクリーム(10%尿素、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル、ジブチルヒドロキシトルエン、セチル硫酸Na、セタノール、親油型モノステアリン酸グリセリン、コレステロール、ハードファット、メチルポリシロキサン、グリシン、DL-アラニン)

(2). 植物性油脂

アサイー油(ヤシ科アサイーの果実、緑色、oleic acid・palmitic acid・ポリフェノール豊富、vanilin acid)
・水添パーム油(アブラヤシの果肉、palmitic acid50%、oleic acid45%、牛脂に近い)

アザミ油(キク科マリアアザミ、変質しやすい、肝機能改善)
サンフラワー油★(ヒマワリ、キク科、種をコールドプレス、酸化しやすい、linoleic acid・oleic acid、抗加齢)
・カレンデュラ油★calendula oil f(キンセンカ油マリーゴールド、キク科、カロチノイド・サポニン・フラボノイドグリコシド、抗酸化作用・皮膚収斂作用・抗炎症)

アズレンazulene(C10H8、非ベンゼン系芳香族5・7員環、融点100℃、濃青色昇華性結晶、カモミールより)
・アズレンスルホン酸Na★(アズノール、水溶性、抗炎症・健胃・含嗽)、
・グアイアズレン★(アズレン誘導体1,4-dimethyl-7-isopropylazulene、ユソウボクに、着色料・抗炎症・健胃)、
・ベチバズレン(ベチバー油)、

アボカド油★(クスノキ科、圧搾法、緑色、粘性大、クセがあり他のオイルと併用、oleic acid・linoleic acid)
・アボカド油不ケン化物@(細胞間脂質類似成分、水分保持)、

アプリコットカーネル★(バラ科アンズ、種をコールドプレス、oleic acid・linoleic acid・VA、酸化しにくい)、
アーモンドオイル★(バラ科スイートアーモンド、コールドプレス、oleic acid60-80%、linoleic acid17-30%、パルミチン酸6-8%、酸化しにくい、ビター・アーモンドには毒性)
・スイートアーモンドオイル★(バラ科、コールドプレス、オレイン酸60-80%,リノール酸17-30%,パルミチン酸6-8%、酸化しにくい)、
・ウメ果実エキス★(バラ科、リオニレシノール、育毛)
・ピーチカーネル(バラ科、ピーチの種(カーネル)を圧搾、保湿、oleic acid・linoleic acid)
・リンゴ油★(バラ科、種子、イオウ含有)
・ローズヒップ★(バラの果実、VC、リコペン)
・バーシック油(杏・桃の種子、oleic acidなど、植物性基剤)

アマ@(アマ科、アマニ油(保湿、乾きやすい)、linolenic acid・oleic acid・linoleic acid)、
・ヘンプ油(麻(ヘンプ)の種子から、乾性油、亜麻仁油に近い、palmitic acid・linoleic acid・linolenic acid、抗菌性)

アマランサス油(ヒユ科、スクアレンと不飽和脂肪酸多い)

アルガンオイル(アカテツ科、種をコールドプレス、酸化しにくい、なめらか、食用油・香料・化粧品、コレステロール抑制、モロッコ産、linoleic acid・oleic acid・VE・VA・polyphenol)
シアバター(アカテツ科、シアバターノキの種、ナイジェリア・マリなど、stearic acid・oleic acid、常温で固体、皮膚吸収よい)

イカリソウエキスg(フラボノイド(イカリイン))
イブニングプリムローズ(アカバナ科、種をコールドプレス、酸化しやすい、linoleic acid・linolenic acid)
ウォールナッツオイル★(クルミ科、酸化しやすい、linoleic acid・oleic acid)

オリーブオイル(モクセイ科、果実をコールドプレス、酸化しにくい、oleic acid(排便)・linoleic acid・セコイリシド配糖体(oleuropein)・フェノール類(hydroxytyrosol)・oleocanthal(COX阻害、抗炎症))
キーウィフルーツシード★(マタタビ科、種子をCO2抽出法、酸化しやすい、linolenic acid・oleic acid)

キャッツクロー(アカネ科、樹皮・葉、抗炎症、オキシインドールアルカロイド・トリテルペノイド・ステロール、インカのリウマチの特効薬)

キャロットオイル(セリ科、酸化しやすい、オレンジ色、根、β-カロチン、VA)
アシタバエキスg(セリ科シシウド属カンソウ、キサントアルゲノール・クマリン類、抗菌作用・降圧)

ココアバター★(アオギリ科、種を高温圧搾、酸化しにくい、oleic acid・palmitic acid)
ココナッツオイル★(ヤシ科、果肉をコールドプレス、さらさら、酸化しにくい、カプリル酸・カプリン酸・カプロン酸・グリセリド、育毛効果)

トコトリエール(VEの一種抗酸化VEの50倍)、植物ステロール(コレステロール吸収阻害))、

コーン油(イネ科トウモロコシ油、linoleic acid・oleic acid、貯蔵安定性)
コメ油(米ぬか油、oleic acid・linoleic acid、γ-oryzanol(コレステロール吸収阻害・紫外線防止・更年期障害)、
・コメ胚芽油★(コメヌカから精製)
・ハトムギエキス(イネ科ジュズダマ属、抗菌・利尿・抗腫瘍・保湿、ヨクイニン)
・グリコシルトレハロース(トウモロコシデンプン由来の保湿成分、べとつかない)
・オクテニルコハク酸デンプンA1(トウモロコシデンプンを疎水化、感触改良剤としてファンデーション・クリーム・乳液に)
・ウイートジャムオイル(小麦胚芽油、酸化しにくい、抗酸化作用、linoleic acid・oleic acid)

セサミ(ごま油、ゴマ科、リグナン類(セサミン・セサモリン・セサモリノール・セサミノール・ピノレシノール、セサモール(抗酸化作用))、酸化しにくい)
ゼニアオイエキス(保湿・抗炎症・代謝促進)

セントジョーンズワート★@(オトギリソウ科、光毒性、花を蒸留、セイヨウオトギリソウ、ジアントロン(hyppericin)・アントラキノン・フラボノイド(amentoflavone)・ナフトジアントロン類(ヒペリジン)・タンニン・フロログルシノール類(ヒペリホルン)・セスキテルペン類、抗鬱作用、フルオセチン(うつの薬)と似た成分が内服で副作用)、

月見草油(アカバナ科、イブニングプリムローズ、メマツメヨイグサ、種子から、linolenic acid・palmitic acid・stearic acid、カテキン、抗炎症・抗老化)、
椿油(カメリアオイル、ツバキ科、種子をコールドプレス、やや粘性、酸化しにくい、oleic acid・palmitic acid)

トレハロース(トウモロコシ・ジャガイモ・キャッサバから、保湿効果大の糖類)
・グルコシルトレハロース(トウモロコシ由来の多糖類、保湿)
豚脂・ラード(oleic acid41.2%、palmitic acid23.8%、stearic acid13.5%、linoleic acid10.2%、酸化されにくい)

ハチミツ(ミツバチが収集した花の蜜、fructose、glucose、dextrin、cholin、軟膏湿布剤・化粧パック)
ブドウ種子油(linoleic acid、stearic acid、palmitic acid、VEなど含む)
・グレープシード(ブドウ科、種を高温圧搾、さらさら、linoleic acid・oleic acid・palmitic acid)

ピーナッツ油★(マメ科、不乾性油・酸化しやすい、oleic acid、linoleic acidが主成分、resveratrol(抗酸化・心血管予防)、polyphenol、欧米で接触皮膚炎多い・ピーナッツアレルギー誘発)
・ソヤ・大豆油(linoleic acid・oleic acid・palmitic acid)

ヒマシ油(トウダイグサ科トウゴマ種子を圧搾、粘度・比重最大、流動性、酸化されやすい・熱に弱い、主成分リシノール酸、石けん・外用剤基剤・化粧品・下剤)
・水添ヒマシ油(トウゴマ、水素添加、保湿に)
・カスターオイル(トウダイグサ科、種をコールドプレス、粘性、酸化しやすい、浸透悪い、ricinoleic acid・oleic acid)
・ククイナッツ(トウダイグサ科、果実種をコールドプレス、さらさら、酸化しやすい、linoleic acid・linolenic acid・オレイン酸)

PCA(ピロリドンカルボン酸Na、海草・サトウキビから、保湿剤、グルタミン酸から合成)

ヘーゼルナッツ@(カバノキ科ハシバミ属セイヨウハシバミ、oleic acid・linoleic acid・ビタミンE、遮光性)
ベタイン(N+(Ch3)3-CH2-COO-、betaine、電荷を持たない化合物の総称、砂糖大根・綿実に、毛髪の帯電防止・柔軟性・弾力性与える、carnitine、trimethylglycin)、トリメチルグリシンtrimethylglycin(ベタインの一つ、保湿剤)

ボルネオ脂(フタバガキ科borneo tallow nut oil、stearic acid・oleic acid・palmitic acid)
マカデミア種子油(ヤマモガシ科、酸化安定性、oleic acid・パルミトレイン酸、保湿剤)
マルーラ油★(ウルシ科、酸化防止・保湿、oleic acid)
・カシューナッツ油★cashew nuts(ウルシ科、オレイン酸・リノール酸、殻からオイル・塗料(サンダルで接触皮膚炎の報告)、アナカルディウム酸・アミグダリン含む)

メドウフォーム油(リムナンテス科メドウフォーム、主成分eicosenoic acid(モノ不飽和脂肪酸C19H37COOH)、さっぱり保湿・基剤・保水)
モルティエラ油(糸状菌、γ-linolenic acid、保湿・メラニン生成抑制)

レシチン(ホスファチジルコリンの別名、卵黄・大豆からのグリセロリン脂質、生体膜の構成成分、保湿・乳化・肝障害改善)、
・リゾレシチン(大豆からのリン脂質、保湿)、
・水添レシチン(ホスファチジルコリンを水素付加、熱酸化安定性向上させたリン脂質)、

ロジン★(コロフォニー、松ヤニを精製、マスカラ・滑り止め・貼り薬・チューインガム・香料、ロジン酸(abietic acid、parastrin acid、isopimalなど含有))、
・水素化ロジン(コーテイング)、
・不均化ロジン

ワセリン★(vaseline、petroleum jelly、石油由来の炭化水素を精製したもの、保湿・保護、ときに接触皮膚炎)


D高分子ポリマー

 重合高分子、保湿剤として用いられます。
 一般に高分子になると接触皮膚炎は起きにくくなります。
 ポリマーの原料となる重合原料モノマーが残っていると、モノマーが皮膚炎の原因となります。

 ポリマーが劣化・変性してモノマーが生じるときがあります。
 アルデヒド類(たとえばホルマリン)などの重合剤、添加された様々な可塑剤も要注意です。

イソステアリン酸ポリグリセリルpolyglyceryl isostearate(高極性油剤、乳化剤、重合の程度で多くの種類がある)
・テトライソステアリン酸ポリグリセリルpolyglyceryl-2 tetraisostearate(さらつと油剤)。
・ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2。
・トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(パーム・ヤシ油由来、高極性の低粘性油剤、顔料分散性に優れる)。
・トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、
ペンタカプリル酸ポリグリセリル、
・オクタカプリル酸ポリグリセリル、

ポリエチレングリコール(PEG、クリーム・ローションタイプの化粧品、界面活性剤、乳化剤、セトマクロゴール、数字は重合度)
・(-4,-6,-7M,-8,-12)★,
・(-20,-30,-32,-75,-150,-400)、

ポリプロピレングリコール(PPG、スキンケア化粧品の油性配合剤、融点低い、不揮発性)(-3,-7,-16,-17,-20, -34,-69,)、
・ポリオキシプロピレンブチルエーテル(PPGブチル、-20,-33,-40)、
・ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(PPGグリセリル、-3,-6,-9,-16,-67)、
・ポリオキシプロピレンソルビット(PPGソルビトール)
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(PPGブテス-2、-2,-5,-7,-12,-15,-28,-33)、
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(PPG-24グリセレス-24)、
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル(PPG-75PEG-300ヘキシレングリコール)

ポリグルタミン酸polyglutamic acid PGA(ポリペプチド、納豆にも、高度保水性、医薬品・化粧品に)
・ポリサッカライドpolysaccharide(多糖のこと、親水性・不溶性・増粘多糖類・ゲル物質など様々、皮膚に被膜形成し保湿)

ポリヒドロキシステアリン酸(合成ポリマー)、
ポリビニルアルコール(polyvinylalchohol PVAポバール、親水性合成樹脂、界面活性剤・乳化剤・とれにくい被膜形成)

メチルグルセス-10(メチルグリセリルに酸化エチレンを重合)
(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー(非アクリル系、増粘安定剤・安定性)
ラウリン酸ポリグリセリル


E天然高分子

蛋白質は酵素などで加水分解されると、ポリペブチド→ペプチド→アミノ酸と順に分子量が小さくなる。
分子量が小さくなると、皮膚から吸収されやすくなり、アレルギーも起きやすくなる。
アミノ酸はアレルギーは起こさないといわれるが、人工のd型が混在すると不明(本来天然のアミノ酸はL型の光学異性体のみ))

加水分解アルギン(海草由来、基底膜を構成する蛋白質の分解を促す酵素(MMP-9)を抑制して基底膜保護)
加水分解ケラチン
加水分解小麦★(お茶のしずく石けんに使われ、いろんな小麦アレルギーを起こした)
加水分解コラーゲン
加水分解酵母
加水分解コンキオリン(真珠由来)
加水分解シルク
加水分解水添デンプン
加水分解大豆蛋白
加水分解ヒアルロン酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール(組織中に結合水として水分保持)
加水分解卵殻膜
チュベロース多糖体(チュベロースの花弁から抽出、天然ポリマー、保湿剤・美容液・化粧水)


F増粘ゲル化剤:

 高分子になるほどアレルギーは起きにくい(感作されにくい)といわれます。
 以前、寒天をコーティングしたフェイスマスクを湿疹患者の水分補給・保湿に用いたことがあります。
 寒天のような多糖類は、普通接触皮膚炎を起こしません。

アルギン酸Na(褐藻の多糖類、Mg,Caイオンでゲル化、血糖上昇抑制・増粘・胃粘膜保護・紙のコーテイング剤)
・カラギナンcarrageenan(紅藻類の多糖類、D-galactoseか重合、増粘安定剤・ゲル化剤)
・寒天(テングサなど紅藻類の多糖類、agalose or agalopectineなどの多糖類、)

カラヤガム★(アオギリ科カラヤゴムノキ、多糖類、増粘安定剤、接触皮膚炎)
・キサンタンガム(トウモロコシ澱粉をXanthmonas campetrisで発酵、多糖類、Glu2-Mannose2-glucronacidの繰り返し、粘度↑・しっとり感・粉末乳化安定剤)
グァーガム(グァーの種子の多糖類(ガラクトマンナン(マンノースとガラクトース))、最も粘度大)、ヒド・ロキシプロピルグァーガム(ノニオンポリマー、保水潤滑性・高粘度)
・ジェランガム(Pseudomonas elodeaがつくる多糖類(glu,glucron acid,ramnose)、金属塩でゲル化)
・ローカストビーンガム(カロブの種子からの多糖類(マンノースとガラクトース)、ゲル化剤・増粘安定剤)

カルボキシメチルセルロースcarboxymethyl celluloseCMC(セルロースを変性させた水溶性高分子、陰イオン系、粘性、増粘乳化安定保水粘着被膜形成・下剤・界面活性剤)、
・ヒドロキシエチルセルロース(HEC、ノニオン系)、
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ノニオン系界面活性、高温下でゲル化、粘稠な水溶液)

プルランpullulan(グルコースの多糖類、最初黒色酵母から抽出、増粘・接着・被膜性)

トリベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸グリセリル(チキソトロピー性のあるゲル化剤が可能、W/O乳化安定剤)、
・ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル、ベヘン酸/エイコサン二酸ポリグリセリル-10

ペクチン(レモンなど柑橘類の多糖類エステル、水溶性、増粘安定剤ゲル化剤、高エステルは粘度大)
マルトデキストリン(トウモロコシから)


Gロウ・ワックス

 動物性と植物性、鉱物性があります。

 脂肪酸と高級アルコール(炭素数20以上が多い)がエステル結合したものです。
 常温で固体、融点高い
 温度安定性があり、比較的融点が高く、疎水性です。

 動植物ロウ・ワックスには、炭化水素・樹脂・脂肪酸・高級アルコールがかなり含まれています。

(1). 動物性

オレンジラッフィー油orange roughy oil(ヒウチダイ科魚オレンジラフィ、動物性液体ロウ、不飽和アルコールと不飽和脂肪酸の混合物、保湿)
サラシミツロウ(セイヨウミツバチの巣(紺印)、トウヨウミツバチ(赤印))、
・ミツロウ(ミツバチの巣)

(2). 植物性

カルナウバロウ(カルナウバヤシの固体植物ロウ、セロチン酸ミリシルとアルコールのエステル、高い融点80℃、口紅・乳液・クリーム)
・キャンデリラロウ(キャンデリラの茎、固体ロウ、口紅など、炭化水素40%・樹脂15%程度含有)
・コメヌカロウ★(コメヌカ油を精製)
・モクロウ★(ハゼノキの果皮の脂肪、パルミチン酸、高融点)

ホホバ油(ナデシコ目シモンジア科ホホバ種子、液体ロウ・植物性ワックス、油性感少ない・酸化安定性、stearic acid、aracinic acid、palmitic acid)、
・ホホバ種子油

(3). 鉱物性

セレシン(オゾケライト・地ロウを精製、パラフィンに似る、油性増粘剤)
パラフィン(炭素数が20以上のアルカン、常温では白色の軟らかい固体、ロウソクなどに、プラスチベースの基剤)
流動パラフィン(パラフィンよりオレフィン系炭化水素に富む。ミネラルオイル、炭化水素を蒸留・精製、酸化されにくい)、
プラスチベース(plastibase、炭化水素ゲル軟膏、流動パラフィン95%・ポリエチレン樹脂5%(ゲル化剤)、二重結合がない・酸化されにくい、ワックス、保湿)

ベヘニルアルコール(ロウ状、乳化安定)

マイクロクリスタリンワックス(ワセリンを精製)
合成ワックス(エチレン重合して合成)


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